ディアパゾン−世界に響く神の歌−
3
怒ってないから大丈夫、アナがそう言おうとした瞬間、家の外から怒声が響いて、アナもシュエラも驚いて窓の外に顔を向けた。
家の外、まだ遠いところからこの家に届くほど大きな声が何かを喚いている。
徐々に近づいてくる声は複数で、シュエラの名前を叫んでいた。
アナはとっさに欠片を上衣の内ポケットにしまい、急いで外に出るシュエラの後に続いた。
アナが戸口からシュエラの背中越しに外を見れば、夜更けの暗い荒地をこの家に向かってくる明かりが見えた。
不審に思うアナをよそに、やがて家の前で立ち止まる三人の男の姿が暗闇に浮かび上がる。
三人ともに並々ならぬ怒りの表情を見て取って、アナは込み上げてくる不安に身をすくませた。