チョコレートシェイク
結局、そんなこんなで奈津美と一緒に再びこの地に来ていた。

余裕を持って支度したはずなのに、イベントの時間までもう僅かだった。

「決戦だよ〜!心の準備はできてる?」
何故か戦闘準備ばっちりな奈津美が言った。

「……」

さっきまでゲラゲラ笑っていたのに、奈津美の一言で急に緊張感してきた。

櫂くんに会うのは1ヶ月ぶり。
その上バースデーイベントで、超アウェイな自分。櫂くんのファンと言うか、女性客が100人。

「奈津美!無理!」

想像しただけで無理。さっきまでのやる気とテンションはどこかへ消えてしまった。

「今更なぁーに言ってんの!もうお店着くよ〜笑。テンション上げて!今日の沙里はいつも以上にかわいいんだから♪周りの俄かファンを蹴散らしちゃえ〜♪」

奈津美のパワーすごい…

私の心とは裏腹にもうお店の駐車場に着いていた。


「行くよ!!」

奈津美が私の手を引いた。

唾をゴクリと飲み、お店のドアを開けた。




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