チョコレートシェイク
「この子はオススメですよ〜かわいいし、家庭的だし。」

なっちゃんが俺に向かって言った。
彼女はスッと立ち上がってトイレに向かった。

「沙里ちゃん酔っ払ってる?」
稲ちゃんが心配そうに言った。

「酔ってはいるけど、マジぢゃない?」

「あのコ沙里ちゃんて言うん?稲ちゃん達とタメ?」
「そう!私の親友!超オススメですよ〜」
なっちゃんがニヤっとして言った。

そこに彼女が戻ってきた。

何だか挙動不審でウケる。
「こんなにテンパってる沙里見るのはじめて‼」

なっちゃんは楽しんでいた。

「じゃあ、とりあえず番号交換しときます?」

俺は携帯を持ってきた。

「えっ?!」

思わぬ展開だったのか彼女はあたふたしている。
携帯の赤外線通信なんて何てことないのに、テンパりすぎてそれすらできないでいる。

「赤外線てどうやるんだっけ?」

なんて聞いている。笑
「レアだ。こんな沙里、二度と見れない〜笑」

なっちゃんは隣で爆笑していた。

何とか番号交換を終えたけど、彼女は相変わらずテンパっていた。

「本当は昨日HALに来ようと思ってたんですよ。でも、沙里ちゃんが焼き鳥っていうから鶏屋にしたんです。」

稲ちゃんが言った。

「そーなん。昨日はたった混んでて忙しかったから、昨日来とったらこんな風にゆっくりできんかったわ。」

俺の発言に間髪入れずに

「運命!」
となっちゃんが言った。

運命かぁ…確かに。
「こんなんやったら俺ちゃんと髪セットしとくんやったー」
髪をわしゃわしゃしながら彼女を見た。

しばらく他愛ない話をして、閉店間際に見送った。
「ウチの嫁をよろしく〜」

俺はそんな事を言って彼女の背中をポンと叩いた。





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