王子様と甘い生活
「うわぁ~」
目の前に広がったのは、白を基調にした可愛らしい部屋だった。
「女の子っぽい部屋になってる~!すげぇ!」
もともとこの部屋は使われていなかったらしいけど、未来くんの驚きぶりから、和人さんがこの部屋もかなり改装してくれたのがわかる。
それに…
出窓がある!
私、出窓に憧れてたんだ。嬉しい!
「芽依ちゃん、荷物どんどん運んじゃお!」
そう言って、未来くんが私の腕を引っ張った。
「あっ、でも…」
手伝ってもらえるのは嬉しいけど、私の手伝いばっかりして良いのかな?そう言おうとした瞬間…
「未来」
いきなり透き通った声が響いた。
扉の方を振り向いて、心臓がびくっと揺れた。
「人の手伝いする前に、自分の荷物運んでよ。俺や兄さんの荷物が出せないだろ。」
扉の前に立っていたのは坂井くんだった。
普段はきちんと制服を着こなしているけど、今日はジーンズにパーカーとラフな格好。
ラフな格好でも、やっぱりカッコイイ人ってそのままなんだなぁ。