王子様と甘い生活

「芽依ちゃんならきっと大丈夫!」という、よくわからない後押しがあり、私はしぶしぶ坂井くんの部屋に行くことになった。



「坂井くん、そろそろ起きたら?もう10時だよー」



ドアをノックするけど返事がない。
本当は放っておきたいけど…



「入るよー」



そう声をかけて、部屋に入った。
うわっ…本がたくさんある。

部屋は昨日引っ越したばかりとは思えないほどキレイだ。
さすが、生徒会副会長って感じ。


ベッドを見ると、坂井くんは規則正しい寝息をたてて眠っていた。

うわっ…きれーな顔。
長いまつげに、通った鼻筋、少し開いた唇が色っぽい。
さすが、裏で王子って呼ばれるだけある!

昨日は本当に腹が立ったし、今だってムカついてるけど、やっぱり美形だ。



「坂井くん、起きて!」



ベッドの横に立ち、声をかけて坂井くんを揺さぶる。
すると少しだけ坂井くんの目が開いた。



「起きた?」

「……」



とろんとした瞳がなんだか可愛らしくて、笑った瞬間、坂井くんの手が伸びてぐいっと引き寄せられた。



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