王子様と甘い生活
「私と一緒に暮らすことに、戸惑ってないの?」
「はぁ…戸惑ってるに決まってるでしょ?」
ですよね。
坂井くんは、ため息をつき、呆れたように私を眺めた。
「ちょっと聞いてみただけ!そんな目で見ないで!」
すると、坂井くんはくすっと意地悪く笑い、立ち上がった。
「でも俺は、君みたいにこの事を隠したいとは思ってないけどね」
「えっ…?」
坂井くんは私に近づき、顎をすっと掴んだ。
「君は秘密にしたいんでしょ?」
坂井くんの薄茶色の瞳が至近距離で私をじっと見つめてきた。
「これって、俺が弱み握ってるようなもんだよね?」
そう言って、意地悪く笑った。
待って待って!
昨日も思ったけど、キャラ違うよ!本当に二重人格なの?
お母さんや和人さんの前とは違う坂井くんの態度に、焦りを隠せない。
「ちょっ、坂井くん?」
抵抗したいのに、驚きすぎて、体が動かない。
近づく坂井くんに、ドキドキと胸がなる。
もう、訳が分からなくなり、なにもかも遮断するように私はぎゅっと目をつむった。