王子様と甘い生活
むぎゅっ
「ふがっ」
いきなり鼻をつままれ、苦しくて目を開けると、目の前にいた坂井くんはいなくなっていた。
「目ぇつぶってないで、抵抗したら?」
さっきまで掴まれていた顎は離され、坂井くんはキッチンで食器を片付けていた。
「それとも、本気で口止め料払おうとしてたの?」
意地悪で楽しそうな声が、リビングに響き、恥ずかしさでかぁっと顔が熱くなった。
「からかうなんて信じらんない!」
「単純な君がわるいんだ。」
「キライ!」
幼稚なことを叫び、私はリビングから飛び出したけど、まだ心臓はドキドキしていた。
普段はクールで言い寄る女子を一刀両断。
人を寄せ付けないような、壁をつくるくせに…
あんなチャライ一面もあるなんて、詐欺だと思います。