王子様と甘い生活

むぎゅっ
「ふがっ」



いきなり鼻をつままれ、苦しくて目を開けると、目の前にいた坂井くんはいなくなっていた。



「目ぇつぶってないで、抵抗したら?」



さっきまで掴まれていた顎は離され、坂井くんはキッチンで食器を片付けていた。



「それとも、本気で口止め料払おうとしてたの?」



意地悪で楽しそうな声が、リビングに響き、恥ずかしさでかぁっと顔が熱くなった。



「からかうなんて信じらんない!」

「単純な君がわるいんだ。」

「キライ!」



幼稚なことを叫び、私はリビングから飛び出したけど、まだ心臓はドキドキしていた。



普段はクールで言い寄る女子を一刀両断。
人を寄せ付けないような、壁をつくるくせに…
あんなチャライ一面もあるなんて、詐欺だと思います。


< 29 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop