王子様と甘い生活
「はぁー、やっぱり車は早いね!芽依ちゃん、これ運んじゃうね!」
そう言って、未来くんは袋を抱えて家の中に入っていった。
「遥さん」
「ん?」
車から荷物を下ろしていた遥さんが振り返る。
「ありがとうございました。荷物すごく重かったから助かりました。」
すると、遥さんはくすっと笑った。
「芽依ちゃん、俺ら家族になるんでしょ?敬語やめない?」
「あっ…」
「あと遥さんってのも、なんか距離を感じるなぁ~。」
でも、何て呼べばいいかな…。『お兄ちゃん』は恥ずかしいし…。
「遥…くん?」
そう言うと、遥さんはにっこり笑った。
「本当はお兄ちゃんなんて呼ばれたいけど、まぁいっか。これからは敬語も無しだよ?芽依ちゃん。」
「うん、わかった」
遥くんは、よしっと言って私の頭を撫でた。
優しい手のひらにほっとする。
少しずつだけど、距離が縮んでいくのが、純粋に嬉しかった。
まぁ、坂井くんとの距離は縮んでいないけど。