王子様と甘い生活
夕飯は家族全員で食べた。
チーズハンバーグは絶賛で、坂井くんもなんだかんだで完食している。おいしいとは、絶対言ってくれないけど。
食後に後片付けのじゃんけんをすると、なんと坂井くんが負けた。
私は、明日の朝食の下準備をするために、キッチンに残ったため、私と坂井くんの2人きりだった。
「今日、どこいってたの?」
冷蔵庫の整理をしながら、坂井くんに声をかける。
「本屋。」
「そっか。」
会話を続ける気のない人との会話ほど、疲れるものはない。
やっぱりだめだ…。
「明日も、起こしてくれるんだよね?」
「えっ…」
キュッと水を止め、坂井くんがお皿をふきはじめた。
「明日、大事な会議があるんだ。だから、起こしてよ」
優しげに言うけど、拒否権はない言い方に驚いた。
なんて偉そうなの!?
「嫌って言ったら?」
無駄だとわかって抵抗してみる。
すると、坂井くんがくすっと笑った。
「何がおかし…っ」
いつの間にか、至近距離に来ていた坂井くんに何も言えなかった。
「抵抗するの?」
高圧的な態度に、本当に無駄な抵抗をしたことを後悔した。
「おっ、起こせば良いんでしょ!もう、離れて!」
すると、坂井くんはふっと意地悪く笑った。
「よろしくね、吉沢さん」
彼の笑顔を見て「勝てる気がしない」そう思った。
意外な一面【end】