王子様と甘い生活
「いやー、あとは“お父さん”なんて呼んでもらえたら、芽依ちゃんの欲しいもの買っちゃうんだけどなぁ。」
「ほんと?お父さん!」
「芽依ちゃん、欲しいものはなんだい?」
「ちょっ、和人さん!?」
お母さんの焦った声の後、リビングに笑い声が響いた。
こんなこと、お母さんと2人で暮らしていたときは、ありえなかった。
寂しかったわけじゃないけど、今は毎日がにぎやかで楽しい。
まぁ、相変わらず坂井くんとは仲良くないけど。
「そういえば芽依ちゃん、彼方に家の鍵はもらったかい?」
「あっ、うん。一昨日もらったよ!」
そう言って、ポケットから鈴付きの鍵を出した。
「おぉ、さすが女の子だね。もう可愛らしいチャームをつけて」
「えっ?」
和人さんの言葉に、驚いた。だって、このチャームは坂井くんに鍵をもらった時から付いていたものだから。
パステルカラーのハートや星のチャームに金色の鈴がついている。
かわいくて一目で気に入った。
これをつけたのは、和人さんだって思っていたけど…
まさか、坂井くんがつけてくれたの?