王子様と甘い生活
「今日はね、お母さん仕事休みなの。だからもし見つからなくても大丈夫だよ。ありがとね!」
「そう?」
「うん。それに悠真、渡り廊下に来るって事は何か用があったんじゃないの?」
そう言うと、悠真の顔がみるみるうちに赤くなった。
「えっ…悠真?」
「あっ…いや…芽依さ。好きな奴とかいる?」
「へっ?」
突然何を言い出すのかと思った。
好きな奴って…悠真だよ、って言えたら良いけどそんなわけなくて。
「いないよ」
嘘をついた。
すると、悠真はそっかと良いながら笑った。
「実はさっき、俺好きな人ができた。」
「えっ…」
悠真の楽しげな言葉と裏腹に、私はドクンっと胸が痛んだ。
すきなひと?
「1個上の先輩でさ。かわいいんだよ。俺、明日告白してくる!」
「こっ、告白?」
昔から、思い立ったら即行動の悠真だった。
それにしても、展開が早すぎませんか?
「へへっ、俺芽依より先に幸せになっちゃうかも。それじゃあ、俺行くな!もしおばさん家にいなかったら家こいよ!じゃあな。」
そう言って、悠真は走っていった。
目の前がグラグラした。
もし悠真の告白が上手く言ったら、悠真は誰かのものになる。