王子様と甘い生活

そうなった時、私は悠真と笑顔で話すことができるかな?


今日は朝からついていなかった。

ポニーテールにスクランブルエッグ、鍵をなくして、好きな人には好きな人ができて。

あげく、窓にはポツポツと雨があたりはじめた。

ほんと最低。
今日傘ないのに…。



「吉沢さん?」



呼ばれる声がして、振り返ると坂井くんが立っていた。



「坂井くん…」

「泣きそうな顔して何やってるの?」



呆れ顔の坂井くん。
なのに、なぜかわからなかったけど坂井くんの顔を見たらほっとした。

苦手なはずなのに不思議。毎日顔を合わせているから、かな?



「実は鍵をなくしちゃって…」

「はぁ?」



坂井くんはさらに呆れ顔になった。



「鈴付いてるのに、無くすなんてすごいね…」



そう言って坂井くんはしゃがみこむと、きょろきょろし始めた。

鈴…
やっぱり、坂井くんがつけてくれたのかな?



「ここで落としたの?」



聞く前に、坂井くんの口が開いた。



「た…ぶん」

「ボサッと立ってないで、探したら?」



そんなきつく言わなくても良いのに…。
ついてないことが続いて、視界がジワッと滲んだ。


もう、最悪だ。


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