王子様と甘い生活

「あっ、ごめん。そーだね、すごいね。」



どんな人なんだろう。そう考えるだけで、胸が苦しかった。

悠真が選んだ人なら、きっと良い人なんだと思う。
だけど、私にはそう思えなかった。


家族みたいに、近くにいた悠真がすごく遠くに感じた。



◇◆◇◆◇◆

「芽依ちゃん!」

「あっ、未来くん」



お昼休み、未来くんが教室にやってきた。



「どうしたの?」

「今日さ、一緒に帰ろ!またジェラート食べない?」



にこにこと嬉しそうに笑う未来くんに、キュンとする。



「そうだね、行こっか!」

「やった、じゃあ放課後玄関で待ち合わせね。」



そう言って、未来くんは教室から去っていった。



「未来、何のよう?」

「わっ、坂井くん!」



後ろからヒョイッと出てきた坂井くんに、ビクッとした。



「あっ、一緒に帰ろって。」

「ふーん」



聞いたくせに、興味のなさそうな返答。



「別に興味があったわけじゃないよ」



そう言って、くすっと笑った。
えぇっ?何で考えたことわかるの!?



< 57 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop