王子様と甘い生活

「良かったの?」

「えっ…」



後ろを振り返ると、坂井くんが立っていた。
なっ、なんで!?



「どうして…」

「お昼食べようと思って。」

「何で私のお弁当も持ってるの?」



坂井くんの手には、机の上においたはずのお弁当とプリンがあった。



「たまたまじゃない?」



そんなわけないでしょ?って思ったけど、なんとなく嬉しくて、黙ってそれを受け取った。



「そんなに好きだったの?」

「えっ?」



お弁当を食べながら坂井くんがボソッと言う。



「うち両親が離婚したでしょ?悠真の家と前の家が近くて、お母さんが仕事するようになってから、よく悠真の家でお世話になってたんだ。」



それも、悠真が私に声をかけてくれた。
『1人でいるの寂しいなら、うちに来いよ』って。


それがすごくうれしくて、幸せで気づいたら悠真を好きになっていた。


中学生の頃は、悠真を見るとドキドキした。
好きだって思った。


でも今は?
ドキドキというより安心感。
恋愛感情がなかったわけじゃないけど、家族に対する愛情に近い気もする。


気づくと、このことを坂井くんに言っていた。何でだろう、大嫌いなはずの坂井くんに恋愛相談なんて…
冷たくあしらわれるかもしれないのに。


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