王子様と甘い生活
でも…



「想う期間が長くて、感情が変化したのかもね。」



坂井くんは全然冷たくなくて、むしろ隣にいることに安心した。

悠真は昔から、私に対する感情が“友達”だった。

悠真の私への感情が、友達から家族に近いものに変わっていたとき、私の気持ちも変化していたのかも。

だから、どこかで悠真を諦めていたのかもしれない。



「すっきりした?」



優しい顔をした坂井くんに、少しドキッとした。
悠真のせいだ…あんな、へんなこと言うから。


『芽依は坂井が好きなのかと思った。この前、顔赤くして見てただろ。』


そんなわけない。
だって、普段の坂井くんは冷たくて、意地悪で…



「早く、お弁当食べたら?」

「あっ、うん」



それに素っ気ない。
好きになるわけない!



「吉沢さん、このからあげ美味しいよ。」



本心じゃなくて、ただ慰めてくれただけかもしれない。
でも、嬉しかった。



初恋は実らない。次はちゃんと実るかな?

なぜかわからないけど、坂井くんの隣はドキドキして、胸が苦しかった。




初めての失恋
【END】
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