王子様と甘い生活
◇◆◇◆◇◆
「じゃあこの問題を吉沢、やってみろ」
なんと、大嫌いな数学で当てられてしまった…。でも問題をみて驚いた。
これ、昨日坂井くんに教えてもらったやつだ!
落ち着いて問題を解き始める。
「はい、できました」
すると先生が私の頭をぽんっとなでた。
「吉沢ぁ、やればできるじゃないか!テスト期待してるぞ!」
「はい!」
先生に褒められるなんて初めて!
坂井くんにはもう、頭があがらないよ。
「よかったね。褒められて」
「うん、坂井くんありがとう。」
放課後、坂井くんの席に行きお礼を言った。家に帰れば会えるけど、何となく、すぐにお礼が言いたかった。
「さ、勉強するためにも帰るよ。」
「へっ?」
坂井くんの言葉に驚いてちょっと大きな声が出た。帰るよって…一緒に帰るの?
驚いた私をよそに坂井くんはきょとんとして言った。
「なに驚いてるの?」
「えっ…だって一緒に帰るの?」
すると坂井くんは何言ってるの?と言いながら呆れた顔をする。
「同じ家に帰るのに、わざわざ別々に帰るの?」
だって、まだ学校にいっぱい人いるんだよ?
同じ家に住んでること内緒なんだよ?
坂井くんって、裏でクール王子って呼ばれて人気者なんだよ?
わかってる?
「ほら、帰るよ」
坂井くんと一緒に帰るなんて、恥ずかしすぎるのに…
坂井くんが優しく笑うから、足が自然と動いてしまった。