王子様と甘い生活
あっと言う間に、テスト当日の朝。
「吉沢さん、あとはここの公式だけ覚えておくと良いよ。応用に使えるから。」
「わかった」
あれから、坂井くんは毎日イヤな顔一つせずに勉強を教えてくれた。
「坂井くん、本当にありがとね。このお礼は必ずするね!」
そう言うと、坂井くんは意地悪く笑った。
「そういうことはテストが終わってからね?これで結果が出なかったら意味ないし。」
「もー!なんで意地悪言うかなぁ…せっかくお礼言ってるのに。」
最近優しいかもって、思っていたのに…。
本当に意地悪なんだから。
「さっ、そろそろ行くよ。遅刻なんてしたら話になんないからね。」
そう言って私の頭をポンッと撫でると部屋から出て行った。
触れられた場所がふわっと暖かくなる。
ダメダメ!今は勉強に集中しなくちゃっ!
私は荷物をまとめて部屋をでた。