王子様と甘い生活

あっと言う間に、テスト当日の朝。


「吉沢さん、あとはここの公式だけ覚えておくと良いよ。応用に使えるから。」

「わかった」



あれから、坂井くんは毎日イヤな顔一つせずに勉強を教えてくれた。



「坂井くん、本当にありがとね。このお礼は必ずするね!」



そう言うと、坂井くんは意地悪く笑った。



「そういうことはテストが終わってからね?これで結果が出なかったら意味ないし。」

「もー!なんで意地悪言うかなぁ…せっかくお礼言ってるのに。」



最近優しいかもって、思っていたのに…。
本当に意地悪なんだから。



「さっ、そろそろ行くよ。遅刻なんてしたら話になんないからね。」



そう言って私の頭をポンッと撫でると部屋から出て行った。


触れられた場所がふわっと暖かくなる。
ダメダメ!今は勉強に集中しなくちゃっ!


私は荷物をまとめて部屋をでた。


< 82 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop