王子様と甘い生活

「すっごいドキドキしてるでしょ?」

「っ…」



かぁっと顔が熱くなる。わかってて言うなんてサイッテーだ。



「朝から目合わせないように、頑張ってたのにね。」



ば…バレてるし。

テスト結果が郵送されたあの日に坂井くんにキスをされて以来、極力距離をとろうと努めていた。

というか、目なんてあわせられない。



思った以上に自分が動揺していたから。



でも、全部お見通しだなんて無駄な抵抗だったみたい。

せめて、これ以上くっつきたくなくて私は必死に手で距離を作ろうとしたが、さらに混んできた車内ではこれも無駄だった。


結局、学校の最寄り駅まで坂井くんにくっついた状態でいた。
時折、耳元でからかわれていたせいで、心臓が痛い。

つ…疲れた。



「なんか疲れてるね…大丈夫?」



未来くんが心配そうに言うと、坂井くんがぷっと笑う。

未来くんからは、私と坂井くんの様子が見えなかったようだ。
よかったー…。

あんなにくっついてるところ、見られたら恥ずかしくて死ねるもん。



「ありがとう。未来くん!大丈夫だよ。行こ!」



そう言って、未来くんの腕を引いて歩き始めた。
あんな意地悪な変態は無視だ!


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