王子様と甘い生活
「今日ね、友達と遊んで帰るから遅くなるね。でも夕飯は家で食べたいから、俺の分も作って欲しいなっ!」



にこにこと笑顔で話す未来くん。
はぁー癒される。


「うん、わかった。帰り道気をつけてね!」

「ありがとう!芽依ちゃんもね。じゃあ、またねー!」



未来くんは自分の校舎へと帰っていった。



「今の、未来?」

「え…わっ!」



すぐ後ろに、坂井くんが立っていて、体がびくっとふるえた。
近いよ!もう!



「未来、何だって?」

「あっ…今日は友達と遊ぶって。」

「ふーん、トモダチねぇ~。」



そう言って、意味深に笑う。
ん?どういうことかな。



「今日は生徒会の集まりがあるけど、なるべく早く帰るから。ちゃんと戸締まりしてよ。じゃあ気をつけてね。」



そう言って、ちょっと笑うと、坂井くんは教室から出て行った。

なっ何!?
何であんなに優しいの?

別人だったんじゃないかと思うほど、坂井くんは優しくて、この短時間に何回キュンキュンしたかわからない。

でも、坂井くんに優しくされることがこんなにも嬉しいなんて、思わなかった。



こんな心とは裏腹に、空はどんよりと曇っていた。梅雨だから仕方ないけど、雷は死ぬほど苦手だから、早く帰ることにした。



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