王子様と甘い生活
「吉沢さん!」
ガチャッと部屋のドアが開くと、雨に濡れた様子の坂井くんが入ってきた。
私は、反射的に坂井くんに腕を伸ばす。
「っ…坂井くん」
ぎゅっと、坂井くんに抱きつく。
坂井くんの体が雨に濡れてすこし冷たいのに、耳元では息を切らしているのが聞こえて、走って帰って来てくれたのがわかった。
「ごめん、遅くなって。大丈夫?」
そう言って、坂井くんは私の背中をゆっくりとさすってくれた。
それだけで、安心するし、耳元でささやかれてドキッとした。
「うっ、うん…ごめん、抱きついたりして」
急に我に返って、恥ずかしくてたまらなくなった。離れようとするけど、坂井くんは離してくれない。
「あの…ひゃあ」
ピカッ
ドーン ゴロゴロ
また大きい雷がなって、私は体をすくめた。
「芽依…」
「えっ…んっ」
優しく名前を呼ばれ、驚いて顔を上げると、坂井くんに唇を塞がれた。
「っ…」
ぺろっと唇に舌があたり、反射的に口を開くと、坂井くんの舌が口内に侵入してきた。