キルティガーデン駅

ゆっくり、にっこり笑って


「えぇ、日本人ではないわ」


と少女は答えました


時刻は11時17分、まださっき確認した時間から数分しか経っていないのに、この少女と話していると、時間が止まっている錯覚に陥っている感覚です


少女は本を閉じ、言いました


「私の名前はアリファ。よろしく、さくら」


年上に向かって呼び捨てか、と思いましたが、日本育ちじゃないのかもしれないと考えていると



「電車が来るまで、まだ時間があるわね。少しお話をしましょうか」




アリファと名乗る少女は、自分の座っているベンチの隣を軽く叩いて私が座ることを促しました


あと少しで電車が来るのです


ほんの少し、少女と話す時間くらい惜しくないでしょう


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