先生~あなたに届くまで~

「悪いな!!
 何か用事なかった?」

先生が突然振り向くから

「ななな、なかったです!!」

と声が裏返った。

「ははは!!そんな驚かなくても!!」

先生はいつもの様に大爆笑。


“はぁ...しっかりしてよ私..。”


そう心で思いながら

「それに今頃用事あるかなんて
 聞くの遅くないですか?」

と悪態をつくと

「まぁ確かにそれもそうだな!!」

先生は笑いながらそう言った。


先生には敵わない。


「それで...。
 何を手伝えばいいんですか?」

「あー!!
 資料をホッチキスで止めてほしいんだわ!!」

「まとめたらいいんですね。了解です。」

「浅川に頼んだら数秒で終わりそうだな!!
 頼もしい!!」


何がおかしいのか先生は引き続き笑っている。



“頼もしいって何か嫌だな”


とか思ってると社会科準備室に着いた。


今日は静かな廊下が明るく感じた。


“先生がいる”

ただそれだけなのに。

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