先生~あなたに届くまで~

「んで3つの願いは考えたの?」

先生が笑いながら問いかける。


「いえ。何も思い付いてないんです。」

と私が正直に答えると


「浅川が言いだしっぺなのに
 思い付いてないんかい!!
 まぁ何か思い付いたら言ってくれ。」

おかしそうに笑いながらそう言った。


本当は叶えたい願いなんて山程ある。

だけど。

どの願いも口にするには勇気が足りない。

断られるのは目に見えている。

少しでも側にいたい。
ただそれだけ...。

ふふふと先生の笑い声が聞こえた。


「浅川。そんなに悩まなくてもいいぞ。」

「えっ?」

「いや。お前があまりにも
 眉間にしわ寄せてみたり
 上向いたり下向いたりしてるからさ。」

先生は笑いを堪えられないって様子で
話し続ける。


「そんなに難しく考えないでも
 気軽に何個か言ってみたら?

 出来る事は出来る!!
 出来ない事は出来ない!!って
 ちゃんと言うから。

 お前の表情見てるとおかしくて!!」

とうとう堪えられなくなって笑っている。

笑ったまま先生は私を見た。




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