先生～あなたに届くまで～

「そういえば雪音。
　雪音の恋愛はどうなってるの？」

早絵が唐突にそう尋ねるから
私は苦笑した。

「いや、どうもこうも。
　何にも出来ないしね...。

　それにちょっと話しかけづらくて。」

私の言葉に
早絵はふーんという顔をして

「まぁ。
　何もしないと何も始まらないわよ。

　話したい事が出来たら何でも言って。」

と言った。



“何もしないと何も始まらない”


早絵の言葉が頭の中をグルグルしていた。


「ねぇ早絵。
　私どうしたらもう少し近づけるかな？」

私の言葉に早絵はふっと笑った。


「怖がらないことじゃない？
　
　こんな言い方したらあれだけど
　元々無謀な挑戦よ。」

早絵は少し申し訳なさそうに
笑いながら話しを続けた。


「それでも
　諦められないって思ったんでしょ？

　それなら今さら怖がってちゃ駄目。

　まずは迷惑になるかもとか
　何て言われるかとか
　どう思われるかとか

　そんな事何も考えないで
　自分が伝えたい様にやりたい様に
　やってみたらいいんじゃない？

　それで傷つく様な事があった時に
　慰める為に私達がいる。
　悩んだ時に支える為に私達がいる。

　そうでしょ？」

そう言って早絵は笑って見せた。