先生~あなたに届くまで~

「って決心したところで試験前だし
 社会科準備室行けないなぁ。」

と私が呟くと

「行けなくても
 そこ歩いてるわよ。ほら。」

早絵はおかしそうに廊下を指差した。


先生だ。


急すぎて心の準備が整ってない。


“「先生。苦しまないで。」”


自分が発した言葉が頭を過る。

あの時私を救ってくれた先生に
どうしてもその言葉を言いたかった。


だけど言ってすぐに後悔した。
あの重い空気が触れてはいけないことだと
伝えていたから。

「雪音。
 行っちゃうわよ。」

早絵は私の手をとって立ち上がらせ
背中を押した。

「早絵!!」

「ほら。早く行きなさい。」

「だ、だって何を言うの?」

私は慌てる。

「何でもいいんじゃない?
 さよならでもまた明日でも。」

早絵は慌てる私を楽しむ様に笑う。

「もう!!」

「ほら!!」

今度は私の手を引いて
教室の扉まで連れていく。



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