先生~あなたに届くまで~

先生の方をちらっと見る。

先生はちょっと困った顔をして笑った。



「浅川。
 確かに2人を連れて来たらいいとは
 言ったけど...試験の後は
 採点があるからな。」

上手に断られたなと思った。

また沈みそうになる心を
必死に保つ。

笑うんだ。私。


「そうですよね!!
 私また迷惑な発言を!!
 すみません!!
 じゃあ勉強に戻ります!!」


早くこの場からいなくなりたい。

恥ずかしさと悲しみが
同時に襲ってくる。

私は教室の扉の方へ歩き出す。


「浅川。
 紅茶はまた今度な。

 けど夏休み前にまた頼みたい仕事が
 あるんだわ。
 お前が時間あるなら
 また手伝ってほしいんだけど?」

先生の言葉に足を止める。

「浅川?
 まぁ無理にとは言わないから
 考えといて!!
 
 じゃあ勉強頑張れよ!!」


何も答えない私に先生が話しを切り上げ
歩き出そうとしている。



驚きと嬉しさで声が出ない。



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