先生~あなたに届くまで~

「せ、センセイ!!」

またしても声が裏返る。

先生の前にいると失敗ばかりだ。


先生はもう一度振り返る。

でもその顔は笑いを必死に堪えていた。


ゴホンッ。

私は恥ずかしくて咳払いをした後


「先生。
 仕事手伝わせてください!!」

まるで懇願する様に言ってしまった。


それを聞いて先生は

「おう!!
 そんな熱心に仕事の手伝いをしてくれる
 生徒を持てて俺は嬉しいよ。」

そう言って笑いながら
必死になっている私をからかった。


「ね、熱心ってわけじゃありません!!
 ただ学級委員として!!
 仕事を果たそうと...。」

あまりにも恥ずかしくて
尻すぼみに見え透いた言い訳をする。


「おう!!おう!!
 よろしくお願いします!!学級委員長!!」

そう言って先生はまた笑った。

「わ、わかりました!!
 じゃあ本当に勉強に戻ります!!」

私は逃げるように教室に駆け込む。


「おう!!頑張れよぉ!!」

先生の声を背中で聞いた。



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