先生~あなたに届くまで~

私があまりにも必死の形相で
教室に駆け込んだから
早絵は目を丸くしている。

早絵と目が合った私はやっと落ち着いた。

落ち着くと力が抜けて
その場に座り込んだ。


「雪音?
 大丈夫?」

早絵も慌てて私の手を取って
席に座らせてくれた。


「雪音。
 良かったじゃない。
 ちゃっかり約束取り付けたわね。」

早絵がからかう様に笑う。

「やっぱり聞こえてた?」

「まぁ。
 こんな誰もいない放課後に
 廊下で話してれば自ずとね。」

「そうだよね。」

早絵の言葉を聞いて苦笑いした。



「それにしても雪音。
 あんた伊原先生の前に行くと
 まともに喋れなくなるのね。」

おかしそうに笑う。

「はぁ。気にしてるんだから。
 やっぱり変だった?」

「変というか。
 私から言わせれば可愛いけど。

 まぁ好きですってバレバレな感じよね。」

早絵は引き続き楽しそうに笑っている。



「やっぱりそう聞こえるんだぁ。
 あぁ。どうしよう。」

大げさに落ち込む私に

「いいんじゃない?わかりやすい位で。
 それに感情にちゃんと従ってる
 今の雪音の方が私は好きよ。」

そう言って早絵が微笑むから
私も嬉しくて笑ってしまった。



「それで取り付けた
 大胆な3つの願いは1つ位叶ったの?」

早絵はまたふふっと笑いながら尋ねる。




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