先生~あなたに届くまで~
廊下に出ると
そこはいつもの静かな空間だった。
近づいても近づいても
先生の一言で
その距離なんてあっという間に
遠ざかって行く。
教室に戻ると
春菜はとびっきりの笑顔で私を迎えてくれた。
「先生と少しは話せた?」
そう小声で言う春菜に
「うん。ありがとう。」
そう伝えた。
私は日に日に深まる
先生への想いを
持て余している。
伝えても届かないからか。
伝えきれないくらい
思いが強くなったのか。
あの声も
たまに触れる手の温かさも
もっと感じていたい。
私は一人思いを巡らせながら
残りの時間を過ごした。