先生~あなたに届くまで~
「あー!!
朝、車で見た人じゃない?♪」
「そう言われたら、そうかもね。」
「ねぇ♪雪音!!そうだよね?
雪音ちゃーん!!」
「ん?うん。たぶんそうだね。」
ぼーっと見つめていた自分に気づいて
慌てて春菜の方を向いた。
“たぶん”なんて言ったけど
本当は間違いなく朝の車の人だと
分かっていた。
ドキドキした気持ちを隠すように
どうでもいいような返事をした。
春菜は私が返事をしたことに満足したのか、もう違う話しをしている。
勘の良い早絵も興味なさげに
春菜の次の話しを聞いている。
よかった。
動揺したことバレてない。
一人で安心していると
「はい!!そろそろ席ついて!!」
と教壇から声がした。