先生~あなたに届くまで~

朝から最悪だ。

早絵が私の手をぎゅっと握って

「気にしちゃ駄目よ。」

そう言った。



私に恋の相手が現れようが

私がどんな恋をしようが

先生にとっては何ともない事。

むしろ諦めてくれてホッとしてる

ってくらいかもしれない...。


でも...嫌だ。

私はずっと先生を想ってるのに
そんな軽い気持ちじゃないのに。

あっさり諦められる位の気持ちだと
思われるのが嫌だった。




そう思った時には足はもう動いていた。

先を歩く先生の元へ駆け寄る。


「先生。
 私そんなに軽い気持ちじゃないですから。

 それに私自分が思ってたより
 良い生徒じゃないみたいです。」


少しおどける様に言って
先生の横を通り過ぎた。


先生がどんな顔をしているのか。

どんな事を思っているのか。

全く想像なんてつかない。

振り返る勇気もない。



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