先生~あなたに届くまで~


ガラッ。


教室の扉が開く。



私は開いた扉の方を見る。

先生はいつもの笑顔で
「おはよ!!」と皆に挨拶をしている。

大人はずるい。
何かあっても平気な顔が出来る。

少しは動揺してくれたらいいのに。

特に先生はわかりやすいようで
とてもわかりにくい。



「さっきの顔見せてあげたかったわ。」

早絵は私にそう言いながら
席に戻っていく。


早絵も同じような事を
考えていたのだろうと思うと

私は大きく頷いて見せた。


だけどこのホームルームの間
いつもと違うことが一つだけあった。



先生は私の方を一度も見なかった。


たったの一度も目が合わなかった。







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先生?

先生の本心が
どこにあるのかわからないのは

私が子どもだからですか?


大人になったはずなのに
あの頃を振り返っても

先生が何を思っていたのか
わからない事の方が多すぎるよ。


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