先生~あなたに届くまで~
ともだち
「ねぇねぇ雪音~♪
一日中気になってたんだけど...
昨日渡辺君と帰ってどうだった?」
春菜が日誌を書いてる私の顔を
覗き込みながら質問した。
「どうって?」
「だーかーらー!!
一緒に帰って楽しかったの?
何かなかったの?」
春菜は興味津津だ。
実は今日一日中
健も昨日の事が知りたくて
私の周りをうろついていたのに
気づいてたけど無視していた。
渡辺君が真剣に告白してくれたのに
簡単に人に話すべきではないと思ったし
好きな人がいるのに
返事を先延ばしにした自分が
後ろめたくもあったから。
「ねぇ♪どうだったの?」
念を押すように春菜が聞くから
「んぅ話しやすくて楽しかったよ。」
私は当たり障りのない様に答えた。
「えー!!それだけー!!」
春菜は騒いでいるけど
今はまだ話さないでおこうと思った。
でも何か違和感がある。
そういえば今日は早絵の突っ込みを
聞いてない。
春菜が騒いでるのに何も言わない。
早絵の方を見る。
机に肘をついて何か考えてる様に見えた。
「早絵?」
「ん?何?」
「何かあった?」
こちらを見た早絵の表情はいつもと同じ。
「別に何もないわよ。
昨日塾の宿題多くてちょっと眠い位。」
そう言った早絵を見て
私の気のせいかと思った。