先生~あなたに届くまで~

ガラッ。

扉を開けると
いつも笑顔で迎えてくれる先生はいなかった。



「日誌?お疲れ様。
 気をつけて帰りなさい。」

先生はただそう言って
パソコンに視線を戻した。


私が先生に告白した日と同じ...


息がしにくい様な重い空気。



「先生?」

私が先生に声をかけると

「まだ何かある?」

パソコンを見たまま先生は返事をした。


「どうして
 目を見てくれないんですか?」

私は震えそうになる声を必死に堪えて
先生に尋ねる。


すると先生はばっと頭を上げ
私の方を見た。

「ちゃんと見てるつもりだけど。
 嫌な気分にさせたなら悪かった。

 けどもう用事がないなら
 帰りなさい。」

先生はそう言って
またパソコンに視線を戻した。



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