先生~あなたに届くまで~

すると遠くから

「優輝ー!!
 お前サボってると
 コーチにチクるぞー!!!」

健が渡辺君を見つけて叫んでいる。


「おっと。やばいな。
 今日の夜メールする。

 気をつけて帰ってね。」

渡辺君はそう言い残して
手を振りながら颯爽と走って行った。


「あ....。」

私は返事もまともに出来ないまま
渡辺君の後ろ姿を見送った。


教室に戻ると
二人が「遅かったね」と言うから

「先生と話してた。」と答えた。


半分本当で半分は嘘...。


春菜に質問されたことで
先生に気持ちをぶつけたことを
思い出したけど...
渡辺君の事で驚いて一瞬頭から消えていた。


ある意味渡辺君のおかげ。

渡辺君のことだから
それまで分かってて言ったんじゃないかとぼーっと考えていた。


私また渡辺君の事考えてる。


そう思うと
自分の気持ちが浮ついているようで
嫌だった。




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