先生~あなたに届くまで~

“本当にごめんなさい”

心の中で何度も呟いた。


もう一度携帯が鳴る。
それでも私は無視をした。


これでいい。
この方がいいんだ。

正しいやり方はわからない。
けど他に何も思い付かなかった。


いつもなら皿洗いをした後
取りこまれた洗濯物を畳んだり
勉強したりするけど

何もする気が起きなかった。


それが先生に告白したせいか
渡辺君を傷つけたせいか

もうどっちも頭を一杯にするには
充分過ぎて分からなかった。


バラエティ番組をぼーっと見るけど
一つも頭には入ってこなかった。



1時間位経った頃
携帯が鳴る。

メールを開くと渡辺君だった。



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From 渡辺優輝
件名 Re2:
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突然でごめん。

今駅にいる。

出てきてもらっていい?

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どういうことか頭が働かない。

駅ってうちの近くの駅?

どうしよう。


私は半分パニックになりながら
渡辺君に電話した。


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