先生~あなたに届くまで~
「クリスマス近づいてきたね」
優輝は優しい笑顔で話す。
「今年は楽しく過ごさせてやりたいな」
優輝はボソっと独り言のように呟いた。
その言葉にまた優しさを感じる。
クリスマスは私にとって特別な日。
小学校2年生の時両親が離婚した日。
あの日なぜかおばあちゃんの家に連れて行かれた。
クリスマスなのに
“なぜ家族で過ごさないのか”疑問ばかりで
「お父さんは来ないの?」
そう何度も尋ねる私にお母さんは
「お父さんはお仕事なの。
これからはお母さんと2人で過ごそう。」
目に涙を溜めてそう言った。
楽しいはずのクリスマスに
ずっと泣き続けたのを覚えている。
そして小学校6年生のクリスマスに
お父さんはまた出て行った。
クリスマスは家族がバラバラになる日。
あの日以来クリスマスに
家族で過ごしたことなんて一度もない。
優輝は私が言った
「クリスマスって寂しい日だな」
という言葉で何となく理解してくれていたのだろう。
そしてその事を覚えてくれていた。
彼はそういう人。
本当に優しくて
今となっては私を理解してくれる大切な人。