先生~あなたに届くまで~
「雪音、今年のクリスマス一緒に過ごさない?」
そう聞いた優輝の瞳は少し震えていた。
「うん。」
私は他に答える言葉など
思いつかなかった。
彼の優しさを知って
温かさを知って
彼の優しさの奥の不安を感じて
私はYES以外の言葉なんて言えない。
言えるはずがなかった。
「よかった」
いつもの笑顔で私を見る優輝の後ろを
“青い車”が通り過ぎて行った。
私は優輝だけを見るように
走り去る車に目をやらないように
ただ優輝の瞳を見て微笑んだ。
“もう2度と考えない。傷つかない。”
自分にそう言い聞かせながら...。