先生~あなたに届くまで~
「えーみなさん。
えー新しい学年、
えー学期が始まりました。
えー始まりというのは
えー不安と期待に...」
長すぎる校長の話しに
今日は何回“えー”って言うんだろう。
とかどうでもいいことを考えながら
さっきの自分の行動を考えていた。
先生に名前を呼ばれた時
私はびっくりというか焦ったというか
ドキッとした...というか。
ドキッ?いやあれはただ驚いただけだ。
だってドキッてまるで気になってるみたいじゃないか。
とか一人自問自答を繰り広げて
体育館の端の方に目をやる。
あくびをしてる先生が見えた。
ふっと笑いが出た。
すると先生があくびをしながら
こっちを見た。
目が合った先生は少し目を見開いた後
苦笑しながら胸の前で“前を見ろ”と
ステージ側を指差した。
その笑顔に
また胸が鳴った気がしたけれど
聞こえないふりをして前を見た。