先生~あなたに届くまで~
「悪い...
忘れてくれ。
ただ可哀想になった...
それ以上でもそれ以下でもない。
お前の気持ち知ってて今の行動は
軽率だった。....失敗した。」
“失敗”
“何の意味もない”
残酷だ。
本当に残酷。
あまりにも悲しすぎると苦しすぎると
涙が出ないことを知った。
息が止まりそうなくらい胸は苦しいけど
涙は出ない。
私は返事もせず、できずに
先生に背中を向けて歩き出した。
もう先生の顔を見ていられなかった。
この場にいたくなかった。
現実として受け止められなかった。
理由はどれかわからない。
その全てかもしれない。
何も感じない心が勝手に足を進める。
ただ静かな寒い廊下を真っ直ぐに。
ただ真っ直ぐに。
「浅川。ごめんな。」
後ろから掠れた声が聞こえた。
だけどもうどうでもいい。
どうでもいいのだ。
私は足も止めずその場を離れた。