先生~あなたに届くまで~
「そう…わかった。」
早絵も私から視線をそらして呟いた。
「雪…音。」
春菜が私の後ろに視線を向け
気まずい顔をして私に視線を戻した。
私はゆっくり振り返る。
そこには…
微笑んだ先生が立っていた。
“何でそんな顔で私を見るの。”
またざわつく心に気付きそうになるけど
私は背を向けた。
ざわつくだけ無駄なの。
苦しくなるだけ無駄なの。
自分に言い聞かせた。
「雪音?」
春菜が心配そうに私を見るから
私は大丈夫というようににっこり笑って頷いた。
早絵はもう席に戻っていた。
“失望させたかな。”
そう思ったけど先生のことを考えるのはきつかった。
優輝の顔が浮かんで
申し訳ない気持ちになったけど…
考えるのをやめた。
“ごめん。”
誰に謝ってるのか分からなかったけど
何度も心で繰り返した。