先生~あなたに届くまで~
「雪音。
私の勝手な思いできちんと向き合えだなんて悪いと思ってる。
だけどね...私は見て来たから...
ずっと見て来たから...
渡辺君がどれだけ雪音を好きか知ってる。
だからきちんと考えてあげて。ね?」
早絵はどんな思いで言っているのだろう。
どれだけ苦しんできたんだろう。
「早絵....。
ほんとに...ごめん。
ごめんね。...ごめんなさい。」
ただ謝るしか出来ない。
「いいのよ。
人が誰かを好きになるのに
誰に責任があるなんてことはない。
渡辺君が雪音を好きになったのは
雪音のせいじゃないわ。
だから謝らないでいいのよ。」
優しく言う早絵。
「違うの。
今まで早絵の気持ちに気づけなかった。
どれほど苦しんできたか。
最低な私を見てどれほど腹が立ったか。
想像出来ないくらいに
早絵が辛かっただろうと思うと...
ほんとに自分が恥ずかしくて...
早絵に合わせる顔もない。」
潰れそうになる心臓のせいで
声が出ない。
「早絵。ほんとにごめん。」
ただ頭を下げるしかできない自分を呪った。
「早絵。
私早絵のこんな想いを知って...
これ以上優輝の側になんていられない。
早絵以上に優輝を好きになんてなれない。
ごめん。」