先生~あなたに届くまで~

忘れるということ


放課後日誌を出した後
優輝を待つまでの間図書室にいた。

宿題をすませ本を探す。


ガラガラ...


扉の開く音がして
目をやると先生がいた。

「浅川?」

日誌を渡しに行った時には
また明日と挨拶を交わしたのに
少し気まずい...。

先生も帰ったはずの私が図書室にいるから少し驚いた顔をしてこちらに歩いてくる。

「浅川?珍しいな。
お前帰ったんじゃないの?」

先生は小さな声で話しかける。

「あの...
渡辺君を待ってるんです。」

「渡辺?
あぁそうか!!
そりゃプライベートな
質問して悪かったな。」

先生はいつもの笑顔で笑った。

「いいえ。大丈夫です。」

私も笑顔を作った。


「うまく...いってんだな。」

先生は安心したように
優しく微笑む。

「うまくかはわからないけど
とっても優しい人だから...

うまく行くように向き合いたいなって。」

今までの私なら隠したいと思っていた。
でもこれからは...それじゃ駄目。

踏み出す第一歩だと思った。

先生ではなく優輝を大切に想う
そんな自分にならなくてはと...。
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