先生~あなたに届くまで~
「雪音。
待たせてごめんね。」
優輝が笑顔で走ってくる。
私も笑顔を返した。
「全然。私が待つって言ったんだし。
あのね...優輝。」
私は優輝を真っ直ぐに見た。
優輝は「ん?」と私の顔を見る。
「あのね。私さっき先生に会ったの。
偶然だけど...。」
私はしっかりと優輝を見て話し始める。
「うん。
ちゃんと話せたの?」
優しい声で優輝は相づちを打つ。
「うん。
ちゃんと話せたよ。
ちゃんと気持ちも伝えたの。
それでちゃんとさよならもできた。」
優輝は「ん。」と返事をして
私をそっと引き寄せた。
「優輝。すぐには無理かもしれないけど...
私...優輝だけを大切に想えるようになる。
優輝だけを好きな私になるから...
一緒にいてくれる?」
私は優輝の肩に顔を寄せたまま
話し続けた。
優輝は「うん。」とだけ返事して
腕の力を強めた。
「ゆっくりでいいから。
焦る必要はないよ。
俺はちゃんと側で待つから。」
「優輝。
ごめんね。ほんとありがと。」
優輝が頭を撫でてくれるのが
心地よくて...大切にしようと思った。