先生~あなたに届くまで~

「ねぇ雪音。クリスマスどこ行くの?」

お弁当を頬張りながら春菜が聞く。

「えっ?何にも決めてないけど…
 イルミネーションは見たいなって…」

私はやっぱり早絵が気になって
うまく答えられずにいた。

すると早絵が

「雪音。私のことは気にしなくていいって
 言ったでしょ?そんな険しい顔してると
 しわ増えるわよ。」

そう言って笑った。

早絵には敵わない。

自分で決めたんだから、普通にしなければ。。
そう思うけど、うまくいかない。

「でもさ早絵。やっぱり話聞くのは
 嫌でしょ?」

私は恐る恐る早絵の顔を見る。


すると早絵ではなく春菜が

「あぁ。春菜って何でこうなんだろう。
 ごめん!!ちょー気が利かない!!
 ほんとぉぉにごめんなさい!!」

勢いよく顔の前で手を合わせて
がっくりと頭を下げた。

あまりの大きな声とリアクションに
ちょっとしんみりしてした私と早絵は
一瞬驚いた後、噴き出した。

「春菜。あんたって本当にいいキャラだわ。」

笑いすぎて目に涙を浮かべた早絵が
春菜の肩を叩きながらまた笑った。

「にしてもほんとに気は利かないわね。」

早絵は春菜に向かってうなづきながら
改まったように言う。

「わー。わかってるよぉ。
 春菜も今回ばかりは自己嫌悪ぉ。」

と春菜がまたがっくりと項垂れるから
私と早絵は顔を見合わせて笑った。

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