先生~あなたに届くまで~

本当は廊下で名前を呼ばれた時から
凄い先生なんだと
気付いていたのかもしれない。


いやもう少し前だ。


だって先生は自己紹介をする前から
皆の名前を完璧に覚えていた。

女子に囲まれていたときだって
ちゃんと名前を呼んで話していたのだ。


さっきだって...
他の先生ならきっと
皆の推薦を良いことに
勝手に決めていたはず。


正直...
私の気持ちを汲み取ってくれて
ちゃんと私の言葉を聞こうとしてくれて
嬉しかった。

だから委員をするのも悪くないと思えた。



それに皆があんな風に言ってくれたのは
先生の力だと思えたし、

クラスの空気を先生が変えた。



あの笑顔はやっぱりチャラいと思うし
人をからかう感じは好きになれないから
認めたくなかったけど


少し...いや結構...


先生として尊敬していた。



――――――

先生?
私我慢してればいいと思ってたの。

先生に会うまでは...。

――――――





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