先生~あなたに届くまで~
遡ること3週間前。
新学期始って1週間が過ぎた日。
学級日誌を職員室に
持っていこうとしていた。
バスケ部で忙しい健の変わりに
いつもなら春菜と早絵が
付き合ってくれるのだけど
春菜はバイトの面接があり
早絵は塾の日で私は1人だった。
“あー会いたくない"
口に出せない悪態を心の中でつきながら
職員室に重い足を運ばせた。
“先生いなかったらいいのに...。”
そう思いながら職員室に入ると
本当に先生はいなくて
ほっと息をついた。
そっと日誌を先生の机に置くと
隣のクラスの先生が
「浅川!!
社会科準備室に持って行ってやれ。
荷物ないから職員室戻らないかもしれない。」
なんて言い始めた。
しかし嫌だと言えない...。
優等生な自分を恨む。
また笑顔を作って「はい」と
明るく言った。
先生は
「みんなが浅川なら楽なのになぁ」
とか呟いてて少し腹がたった。
楽って失礼だな..
とか思いながら更に重くなった足で
社会科準備室に向かった。