先生~あなたに届くまで~
気づく想い
下駄箱に着いてやっと足を止め
その場に座り込む。
先生はずるい。
上手く交わされた気がした。
私が何も聞かないように。
私が何も聞けないように。
それはまるで
触れてはいけないことのように。
まんまと先生の術にはまった自分が
えらく子どもに思えて笑いが出た。
「ありがとうって...ずるいな。」
また悲しみが胸を襲う。
先生に何があったのだろう。
どんな悲しみに潰されそうなんだろう。
私じゃ話し相手にもなれないのかな...。
私の頭の中は
そんな思いがぐるぐる巡っていた。