先生~あなたに届くまで~
「浅川?」
頭の上から声がする。
どうして先生がいるのだろうか。
もう泣いているところは
見せたくなかった。
これ以上誰かに弱いところは
見せたくない。
「心配するな。
何にも見えてないよ。」
まるで私の声が聞こえたように
先生は笑いながらそう言った。
どのくらいの時間が経っただろう。
私のすすり泣く声だけが小さく響いて
それは本当に静かな時間だった。
先生は私の涙が止まるまで
何も言わずに私の後ろに立っていた。
「遅くなったな!!
今日は特別に送ってやろう!!
全ては日誌のせいだ!!」
先生がそんな風に言うから
自然と笑いが出た。
「ふふ...じゃあお言葉に甘えて。」
私がすこしバツが悪そうに
笑いながら先生の方を見ると
先生は優しく笑っていた。