先生~あなたに届くまで~
「俺の車わかる?
ってなわけないか!!
青い4WDだから先に行ってて!!」
そう言い残して
鍵を取りに社会科準備室へ戻って行った。
“やっぱり目が合ったと思ったのは
私だけだったんだ...。”
始業式の朝のことを思い出していた。
そして今、
自分だけの勘違いだったとわかって...
落ち込んでいる自分に気付く。
“もう隠しきれない...。”
そう思った。
きっとあの日先生を見たときから
好きだったのだ。
一目惚れという言葉では表せない。
恋をしたのではなく...
恋に落ちたのだ。
だから先生の笑顔が
誰にでも向けられることに
“嫉妬”した。
楽しそうに女子と話す先生に
“嫉妬”した。
名前を呼ばれて
胸が締め付けられた。
先生の悲しみの正体を
知りたいと思った。
まるで自分の胸が
締め付けられたように
苦しいと思った。
先生が好き。